2005年07月30日

「くまんばちの飛行」の元ネタを知っていますか?

くまんばちの飛行」と言えば、ヴィルトゥオーゾたちがその超絶技巧を披露する曲として様々なソロ楽器用に編曲されてきた非常にポピュラーな曲です。
ちょっとAmazonで検索しただけで、ヴァイオリン・チェロ・コントラバス・トランペット・フルート・トロンボーンなどのCDが見つかりました。
私も学生時代はよくマリンバで弾いてました。実はマリンバだと半音階は全音階よりもかなり簡単なので、音符をさらうだけなら案外簡単に出来ます♪
弦楽器でも押さえる場所が隣り合ってるから案外楽なのかなぁ?てのは素人考えですかね(苦笑)

さて、この「くまんばちの飛行」、元ネタはリムスキー=コルサコフ:歌劇「サルタン皇帝の物語」の中の1曲です。原作はプーシキン。
歌劇のもんのすごく大ざっぱなあらすじは次のような感じ。

サルタン王は、とある3人姉妹の末娘を自らの妃に迎えそして王子が誕生します。
が、2人の姉はこれを妬んで「生まれてきた王子は化け物だ」と王をそそのかし、それに騙された王は妃と王子をタルに入れて海に流させてしまいます。
大海原の2人に食べ物を運んできてくれる白鳥のおかげで王子はタルの中でスクスクと成長していき、立派な青年になります(どんなタルだよ一体…)。
ある日2人が島に打ち上げられた時、白鳥はタカに襲われますがこれを王子がやっつけます。
このお礼に王子は白鳥の魔法の力を借りて自国へ戻り、叔母(妃の姉)たちを懲らしめます。
また、白鳥は王子の愛によって美しい王女の姿に戻ることができ、2人はめでたく結婚しましたとさ。


この中で「くまんばちの飛行」は、島流しにあってしまった王子が魔法でくまんばちに姿を変えてもらい海を越える場面で使われます。

…って思っていたのですが、ネットでちょっと見てみると私が覚えていたのと違う話が結構出ているんですよね。白鳥がくまんばちに襲われる設定になっているのが非常に多い。こっちが正しいのかなぁ?
でも、「くまんばちが海を越える」のは鮮明に憶えています。となると、「白鳥を襲うくまんばち」バージョンでは、くまんばちは白鳥を襲うためにわざわざ海を越えてきたのか〜、ご苦労さまです(笑)

この歌劇の音楽は演奏会用組曲にもなっていてこちらは結構演奏されています。
リムスキー=コルサコフ:「金鶏」組曲、「サルタン皇帝の物語」組曲
ジンマン/ロッテルダム・フィル
リムスキー=コルサコフ:歌劇「サルタン皇帝の物語」組曲 ・歌劇「金鶏」組曲


組曲は4つの曲からなります。「くまんばちの飛行」以外の曲は冒頭にサルタン王のファンファーレが入ることで統一されています。このファンファーレ、16分音符で歯切れよく跳躍するからラッパは難しいです。
第1曲「皇帝の別れと出発」は戦地に赴くサルタン王の音楽で、非常に明るく快活な曲。えらいルンルン気分で戦争行くのね〜とすら感じます(笑)
この戦争中に、妃は王子を産み妃の姉たちから「化け物」報告を受け戦地から王子たちを島流しにしてしまうわけで、「そんなお気楽に戦争行ってるからだよ」と思わなくもありません。
第2曲「樽に入れられて海に捨てられた皇后」は説明要りませんね、そのまんまです。
海の描写は交響組曲「シェヘラザード」の「海とシンドバッドの舟」の伴奏形との類似性を感じさせます。
この曲では[4分音符+2つの16分音符]、「シェヘラザード」では[3つの8分音符]ですが、3つの音符が上下することで揺れる海面を描写している点は変わりません。どちらも3拍子系ですしね。
ただ、この曲には「シェヘラザード」には無い悲壮感が漂います。
第3曲が「くまんばちの飛行」。強弱を付けながらせわしなく半音階で動き回る音型はまさに蜂そのもの。1分ちょっとの短い曲ながら非常にインパクトのある曲です。
ちなみに「くまんばち」と言うと普通は「スズメバチ」のことを差します。丸っこくておとなしいのは「くまばち」です念のため。
第4曲「3つの魔法」は、これ単独だけでも演奏機会が多い曲です。ファンファーレと序奏に続く「3つの魔法」を表す部分がそれぞれ「こっけいさ」「勇壮さ」「美しさ」と違った性質を持つため聴いていて楽しいです。
特に3つ目の魔法部分はとても美しい〜。2つの主題が使われているのですが、これらが提示されたあとこのモチーフをクラリネットとフルート、弦と木管、金管と弦といろいろなパターンで絡まり合います。これが見事!「さすがリムスキー=コルサコフ」とうならせます。
この曲は、冒頭以外にもファンファーレ主題がてんこ盛りです。ラッパは大変ですな。

というわけで、「くまんばちの飛行」の背景が多少なりと分かって頂けたでしょうか?
ただ単に「くまんばちが飛んでる音楽よー」というよりはいい演奏ができるかも?
それとも単純に「くまんばちの描写」の方がいい演奏になっちゃったりして(爆)


posted by ぽぽろんろん at 18:07 | 東京 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | classical musics
この記事へのコメント
先生、知りませーん!
すごいですねぇ〜♪ちゃんと元ネタまで聴き込んでおられるなんて。勉強になりましたm(_ _)m

4月に日フィルの演奏会に行ったときに、演奏会が始まる直前、ステージ上でチェロの団員の1プル目の人がこの曲をさらってました(笑)本番の曲じゃなくて さすがプロは余裕だなと。。。

ロッテルダムフィルってジンマンと共演しているのですねぇ。あの人気者のゲルギーはよく共演してるけど、珍しいな〜なんて思いました♪
Posted by ya-ya-ma at 2005年07月30日 19:22
ya-ya-maさん、いつもありがとうございます♪

実は順序が逆でして、私の場合「3つの魔法」目当てでこのCDを買い、先に「くまんばちの飛行」の元ネタを知っていたのです
その後いろんなところでソロバージョンを知りました。
しかしそれにしても本番直前にこの曲で指慣らしですか。それはすごいや

>ロッテルダムフィル
確かにゲルギエフが真っ先に頭に浮かびますよね。
でもジンマンもそれ以前に主席指揮者を務めているのです〜。
Posted by ぽぽろんろん at 2005年07月30日 21:12
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